第六十七回

  

 博多町人文化連盟は、二ヶ月に一回ゲストを招き、勉強会や実地見学で博多のことをいっぱい習います。今日は那能津会会長の石橋源一郎さんの歌で博多古謡の勉強会。三味線は鬼塚勝治さんです。

 ♪祝いめでたナ 若松様よ 若松様よ
  枝も栄ゆりゃ 葉もしゅげる
  エーイショーエ エーイショーエ
  ショーエ ショーエ
  ショーンガネ アレワイサソ
  エーサソエー ショーンガネ…

 この「博多祝い唄」は歌い出しの「祝いめでたナ若松様よ」までは一人で歌い、みんなで歌うてはならん、その次の繰り返しから唱和する。

 また、♪こちのお庭に 井戸を掘れば 井戸を掘れば 水は若水 金が涌(わ)く…という三番の歌詞は「井戸」が字足らずで歌いにくいから「おイドを掘れば」と「お」を付けて歌うと、イヤラシイ(オイドは関西でおしりの意)ということで、このごろはイイドを掘ればと歌うとか、涙ぐましい努力です。

 なお、最近の流行歌のようにあんまりコブシをつけたらいかん、とりわけショーンガネは急に声を張り上げちゃいかん。そしてこの歌が終わると「手一本」入れてさっさとおひらきにするのが博多のきまりです。

 「博多手一本」の手の打ち方やその文句など聞き覚えだけで、文字にしてみたこともありませんでしたが、ある日、扇子に筆文字で書いてくれと頼まれ、博多の大先輩、落石栄吉さんに電話で聞いてみましたら「よおー、シャンシャン。まひとつしょ、シャンシャン。よーと三度、シャシャン、シャン」でよござっしょうや、とのことでした。

 「よーと三度」は「祝うて三度」という人もあり、さらに拍子を取る両手の間隔が広いとか狭いとか諸説が出て、世の中難しゅうなりました。

 どんたくの♪ぼんち可愛や寝んねしな…という歌詞も、あれは江戸のしりとり歌じゃけん、最後の部分の「玉屋が川イ、すっぽんぽん」を受けて「ぼんち」ではなく♪ぽんちかわイ…と歌い出すべきであるという解釈もありまして、うちのおやじが生きていたらどんな意見を出すだろうかと、苦笑しとります。江戸からこの歌を持って来た河原田平兵衛さんは、たぶん黙って知らん顔をしてあることでしょう。


(1993年 画家 著書より)


  

 

   
  


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