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二科の福岡展が近づくと、また大変です。その宣伝をどうするか、経費は…。東郷先生が博多へ着かれたら、さっそく色紙をかいていただきました。 料亭の一室で、私が横に付いてお世話役です。大先生がどういうふうにして、あの独特の美女を描かれるのか。墨をすって色紙をお渡ししますと、先生は無造作にちょっと大きな筆で薄墨を肉太くカスリ気味に髭をかいて、こんどは細い筆でサラサラ…と。あっ!女性の横顔です。最後に芸者さんから口紅を借りて、ソッと赤をつけて出来上がりです。 二科展をやるからには、東京のパレードを福岡でもということで「おっぱい小僧」がいよいよ福岡へ着きます。私はストリッパーのカバン持ちで迎えに行きました。みんな黒人のふん装をして、西日本新聞社前−渡辺通一丁目−博多駅前と進み、呉服町にさしかかったところで、キラキラ光るブラジャーを今度は私が落とす役目です。 「ピイッ!ピイッ!」東京・銀座のときと同じように、伴走のパトカー警官が車を止めて注意します。 「すんまっしぇん!申し訳ありまっしぇん!」とおわびしながら、パレードは会場へ向かうのです。 今考えると実に悠長でこっけいですが、そろそろ平和な時代が来ていたのでしょう。
(1993年 画家 著書より) |